お酒は、苦手だ。
師走も半分が過ぎ、辺りは年の瀬を迎える雰囲気を漂わせていた。この時期になると忘年会が増え、アルコールを自身の限界以上口にする者も、少なくはない。
ホテルのフロント係である、東雲柚瑠(しののめゆずる)は、そんな顔を真っ赤にしたお客を尻目に、淡々とチェックインをこなしていた。
(あ~あ、またこの時期かよ・・・こいつも酒くせぇ・・・)
酔っ払いは、時に柚瑠に暴言を吐き、時に無理難題を吹っかけては、困らせる。柚瑠は、お酒を飲むことで、ストレスを解消させるような奴が嫌いだった。それにより、自身もたしなむ事を好まなくなっていた。もちろん、柚瑠が元々下戸であることは、言うまでもないが。
(酒飲みって、ホントにうざいな・・・)
第一、飲酒という行為はメリットよりもデメリットの方が大きい。気分が高揚し、日頃のうっぷんが晴れるのは一時であり、調子に乗って度が過ぎてしまうと、後々ひどい頭痛や嘔吐感、神経の痛みなど、様々な異常を来す。また、泣き上戸や笑い上戸といった、本人が普段あまり見せることのない一面が現れたりもする。絡み酒など最悪だ。
(やっぱり、お酒は苦手だ・・・)
柚瑠はそんなことを思うようになってしまった。
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しののめです。突然文学に走りたくなりました。
飲酒に対するヘイトがすごいですが、お酒自体は好きです。
「飲み方を知らない奴」
が嫌いなだけですので、誤解しないでください。
お酒を、「都合のいい道具」にしないよう、気をつけていきたいものです。